NASの動作音を静かにする3つの方法
NASは便利です。自宅のどこからでもファイルにアクセスでき、仕事のバックアップも自動でこなしてくれる。小さな箱に多機能が詰まっているから、家庭オフィスに導入する人も増えています。(詳細を読む:NASってなんだろう?) しかし、意外と見落とされがちなのが、NAS(ネットワーク接続ストレージ)の動作音です。そのノイズが作業の妨げになることがあります。
NASのノイズを理解する
NASの音は主に2つの部品から発生します。1つはハードディスクドライブ(HDD)で、データを読み書きする際に回転したり、小さなクリック音を出したりします。もう1つは冷却ファンで、NASが熱くなりすぎないように空気を動かす際に、シューという風の音を生み出します。NAS内部の構造や各パーツの役割をあらかじめ理解しておくことで、こうしたノイズの原因も把握しやすくなります。この2つが組み合わさることで、NASは作業中に目立つ音を発することがあります。

ハードディスク:回転速度が静けさを左右する
NASに多く使われるHDD(ハードディスクドライブ)は、データを保存する円盤が高速で回転し、その上をヘッドが移動します。この動きが音を生みます。
一般的なNAS用HDDは「5400rpm」か「7200rpm」に分類されます。この数字は1分あたりの回転数です。7200rpmの方が処理は速くなりますが、そのぶん音も大きく、振動も増えます。
冷却ファン:静音設計と現実のギャップ
NASは連続で動くため、発熱もそれなりにあります。それを抑えるのが冷却ファンです。ファンの音は、回転数やファンの大きさ、温度センサーの反応速度などに影響されます。
問題なのは、この音が予測できないことです。ファンが静かなときは何も感じません。でも、会議中や夜中に突然音が立つと、心理的なストレスに変わります。
静音NASハードディスク選定の3ステップ
家庭オフィスに合う静かなNASを手に入れるには、製品スペックを見るだけでは足りません。音は環境や使い方によって大きく変わります。ただ、以下の3つを基準にすれば、迷いは少なくなります。
ステップ1:低ノイズのハードディスクを選ぶ
NASに入れるHDDは静音性の要です。特に高速なモデルは音が大きくなりがちです。
5400rpmのハードディスクを選ぶ
ハードディスクの回転速度が5400回転/分(rpm)のものは、7200rpmのものよりも静かです。家庭オフィスでの使用には十分な速度を保ちつつ、ノイズを抑えられます。たとえば、Western DigitalのWD RedやSeagateのIronWolf NASは、NAS用に設計された静音モデルとして知られています。用途に合ったNAS用HDDの選び方を押さえておくと、性能だけでなく静音性も考慮した構成がしやすくなります。
ノイズレベルの確認
ハードディスクの仕様に記載されているデシベル(dB)値をチェックしましょう。たとえば、WD Red 4TBはアイドル時で約20dB、動作時で25dBです。これはささやき声程度の音量で、気になりにくいレベルです。一方、通常のデスクトップ用ハードディスクは30dBを超えることが多く、気になりやすいです。
NAS専用ハードディスクの利点
NAS用に作られたハードディスクは、24時間稼働を前提に設計されており、振動や発熱が少なく、静音性にも優れています。普通のハードディスクはNASでの使用を想定していないため、振動が多く、ノイズが増える原因になります。
ステップ2:ファンと冷却方式を考慮する
NASのノイズはハードディスクだけでなく、ファンからも発生します。静音性を保ちつつ、適切な冷却を確保することが大切です。
低速ファンやスマートファン搭載モデル
ファンが付いている場合、低速で動作するファンや、温度に応じて自動で速度を調整するスマートファン搭載モデルを選ぶと良いでしょう。負荷が低いときは静かに保てます。 UGREEN NAS シリーズはすべてスマートファンを搭載しており、さまざまな設定が可能です。
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ファンのサイズと設計
大きなファン(例:120mm)は、小さなファン(例:80mm)よりも低速で空気を動かせるため、静かです。また、ケースの設計が音を抑える工夫がされているモデルを選ぶと、さらにノイズが減ります。購入前にユーザーレビューで静音性を確認するのもおすすめです。
ステップ3:設置場所と振動対策を工夫する
家庭オフィスでNASを使う人の多くは、性能や容量に意識が向きがちです。しかし、静音性に最も影響するのは、選んだ機種そのものよりも、置き方とその周囲の環境です。
見た目と配置で"静音性"が決まる
NASの設置場所は見た目で決まることが多いものです。本棚の一角、机の下、ルーターの横。配線がすっきり見える場所を優先するのは当然ですが、そこで発生する振動と反響音まで考えている人はほとんどいません。
木製の棚板は、ハードディスクのわずかな震えを共鳴させます。壁に近いと、ファンの音が反射して広がりやすくなります。高性能なNASであっても、設置環境が整っていなければ、静音設計の効果は半減します。
また、NASの足元に敷かれたゴムや吸音材の有無でも印象は変わります。音そのものを減らすのではなく、「音の伝わり方」を抑えるだけで、体感ノイズは大きく下がります。
温度とノイズは、関係がある
NASは放っておくと熱を持ちます。静音性を優先して風通しの悪い場所に置いたり、ファンの回転数を下げたりすると、内部温度はすぐに上がります。NASはそれに反応して、急にファンを全力で回し始めることがあります。これが、あの「突然うるさくなる」原因です。
静音性を保つために静かにしていたつもりが、かえって騒がしくなる。それだけでなく、高温状態が長く続けば、ハードディスクの寿命にも影響します。
静かに保ちたいなら、静かさだけを追いかけてはいけません。音と熱は引き合う関係です。そのバランスをうまくとることが、家庭オフィスでNASを使う上での大事なポイントになります。
まとめ:静音NASの選び方は「五感設計」
静かなHDDを選ぶこと、冷却ファンの仕様に目を向けること、設置場所と振動への配慮。それぞれは小さな判断ですが、積み重ねると大きな違いになります。
気づかれずに静かに働き続けるNASは、家庭オフィスにとって頼れる存在です。毎日使うものだからこそ、音にも目を向けてください。音が気にならないということは、仕事に集中できているということです。